別名:仕組みの「なぜ」をたどるシリーズ
ECシステム論
ECを支える仕組みは、なぜその形になったのか。
ショッピングカート、決済、在庫、ログイン——私たちが当たり前に使っているECの仕組みは、最初からその形だったわけではありません。誰かが、ある課題に向き合い、「この形がいちばん自然だ」と考えた結果として、今の姿になりました。この連載は、楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazon・Shopify・EC-CUBE など、世界と日本のEC基盤がたどった設計の分かれ道を振り返り、仕組みの「なぜ」を一つずつ読み解いていく記録です。
楽天市場もYahoo!ショッピングも、税・ポイント・クーポン・返金を「全部きちんと扱おう」として、少しずつ項目と仕様を増やしてきました。けれど、条件を掛け合わせるほど組み合わせは爆発的に増え、どんなに優れたシステムもいつか設計の限界に突き当たります。「なんでもできる」を目指した、その先に何が待っているのか——姉妹連載「大人の算数」が、同じ問題を"数"の視点から解きほぐしています。
大人の算数・国語・論理的思考 ・ 第12回 「なんでもできる」の先に、設計限界がやってくる 1998年、買い物かごを単純にするため税込価格を選んだ。あれから約30年、ポイント・クーポン・返金が絡み合い、組み合わせは約591億通りへ。分けても残る限界と、「設計思想とは、何を捨てるか」という問いに向き合います。 第12回を読む「なぜ、ECにはカートがあるのだろう」。当たり前すぎて、ふだんは誰も問いません。けれど仕組みの形には、必ずそれが生まれた理由があります。カートも、決済画面も、ログインも、はじめから完成形だったのではなく、現実の課題にぶつかった技術者たちが、少しずつ選び取ってきた「答え」の積み重ねです。この連載では、世界と日本を代表するEC基盤を一つずつ取り上げ、その設計思想を読み解いていきます。第1回は、日本のEC基盤・楽天市場から始めます。
- 現実の課題
- 誰かの発明
- 世界の基盤へ
- 当たり前の形
- 設計思想
仕組みを疑う前に、その設計の理由を知る。
楽天市場は、なぜ複雑なのか
「歴史」が作った、取引と店舗運用の設計。楽天市場はなぜ複雑に見えるのか。約30年で積み重なったポイント・クーポン・軽減税率・インボイス。「価格」は一つではなく、計算式だけでは同じ結果にならない——公開情報と実務経験から読み解きます。
Yahoo!ショッピングは、楽天市場と何が違ったのか
商品と取引を「次に使える情報」にしたモール。1999年の商品検索、2004年に見た売上データの違い、注文API、2013年の出店無料化、PayPay連携。楽天市場と同じ構造なのに、なぜ同じ形にならなかったのかを読み解きます。
Amazon — 「速さ」からの設計
1-Click、レコメンド、フルフィルメント。Amazon はなぜ、楽天市場とは違う形を選んだのか。「買うまでの摩擦を限りなく減らす」という一貫した設計判断をたどります。
第4回以降は、テーマを調整中です
楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazon に続く回として、店舗の作り方そのものが違うEC基盤を候補に検討しています。取り上げる順番や回数は、連載の流れに合わせて決めていきます。次に読み解く予定のテーマは、次のとおりです。
ECの仕組みは、誰かが理由を持って選んだ「設計」の結果です。形をまねるのではなく、その形が生まれた理由まで理解する。そこまで見て初めて、自分たちの仕組みを、自分たちの言葉で設計できるようになります。
会員ビジネスLab の、ほかの連載
テーマは違っても、通底するのは「仕組みも数字も、その"理由"まで確かめる」という姿勢です。あわせてどうぞ。
