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会員ビジネスLab ・ 看板連載

別名:数字のひとりあるきシリーズ

EC・サブスク業界の都市伝説

「かご落ち率は70%」「チャーンの20〜40%は決済失敗による意図しない解約」——。業界で常識のように語られる数字があります。けれど、その数字は誰が、いつ、どんな条件で調べたものなのでしょうか。この連載は、広く知られた数字を否定するためのものではありません。その出どころまで一つずつ遡り、数字が何を意味しているのかを確かめていく記録です。

岸本 健志
岸本 健志
会員ビジネスLab 主任研究員 / 代表
6 回 ・ 継続中
About — 数字のひとりあるき

一つの調査結果が、業界記事に引用され、セミナー資料になり、営業資料に使われ、やがて「業界の常識」になる。その過程で、「誰が・どの条件で調べたか」という前提は少しずつ削ぎ落とされ、数字だけが残っていきます。私はこれを「数字のひとりあるき」と呼んでいます。

  • 調査結果
  • 業界記事
  • セミナー資料
  • 営業資料
  • 業界常識

数字を使う前に、その分母と出どころを確かめる。

Episodes — 連載一覧
第1回

かご落ち率70%

2000年代、EC現場が「カート途中離脱」に注目した理由は、売上不振の"理由"は測れなくても、離脱の"数"は測れたから。そもそも「カートに入れた=買うつもり」なのかという違和感の始まりを振り返ります。

2026.05.31この回を読む
第2回

なぜ「70%」は常識になったか

「70%」は Baymard Institute が公表する、主に欧米中心の平均値で、10年以上ほぼ横ばい。その約58%は「見ているだけ」のブラウジング層です。決済習慣も配送もポイント文化も違う日本に、そのまま当てはめてよいのかを問い直します。

2026.06.21この回を読む
第3回

「70%」はなぜ生き残ったか

数字が記号として扱いやすく、文脈を剥ぎ取られながら"業界の共通言語"になっていく。調査結果が営業資料に変わる過程で、数字の意味はすり替わります。本当の都市伝説は、数字そのものより「数字があるから正しい」という受け手の盲信かもしれません。

2026.06.21この回を読む
第4回

「チャーンの20〜40%」は誰が言い始めたのか

舞台はECからサブスクへ。「チャーンの20〜40%は決済失敗」という数字は、全契約者の解約率ではなく、発生したチャーンの内訳を指します。同じデータでも、分母を取り違えると印象が大きく変わることを確かめます。

2026.07.16この回を読む
第5回

「チャーン20〜40%」の原典を探す

引用を何度遡っても、算出過程を示す一次資料にはたどり着けない。出どころは、分析サービス ProfitWell社 と共同創業者 Patrick Campbell 氏の発言に集約されます。引用回数の多さは、調査の独立性を意味しません。

2026.07.16この回を読む
第6回

「20〜40%」を語った男

数字を語っていたのは、研究者ではなく起業家だった。Google 勤務を経て分析サービスを立ち上げた実務家 Patrick Campbell 氏の輪郭をたどると、ProfitWell社 の製品「Retain」という新たな名前の前で、また手が止まります。

2026.07.16この回を読む
この先の連載 ・ 執筆中/予定
第7回「Retain」という製品 ― 引き留める、とは何をすることか執筆中
今後日本の継続課金に、その数字はそのまま当てはまるのか予定
この連載が伝えたいこと

数字は、事実の一部を示します。しかし、数字だけでは真実までは分かりません。その数字が何を測り、誰が、何のために使っているのか。そこまで見て初めて、数字は本当の意味を持ちます。

本連載で扱う各社の記述・数値は、いずれも執筆時点で公表されていた公開情報に基づきます。引用元の調査対象・期間・算出方法の詳細は、公開記事からは確認できない部分があります。本連載は公表されている技術仕様・公式ドキュメントと、筆者の長年の実務経験・考察をもとに構成しています。

その数字、
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