決済代行会社には、それぞれ取り扱いできない商品・サービスや、事前確認・個別審査が必要な業種があります。ここで大切なのは、禁止・制限の対象が「法律違反の商品だけ」ではない、という点です。

法令上は販売できる商品・サービスであっても、カード会社・アクワイアラー・決済代行会社・提携金融機関の方針により、カード決済では取り扱えないことがあります。たとえばStripeも、金融サービス会社として金融法令やカードネットワーク・銀行パートナーのルールに従う必要があるため、すべての事業をサポートできるわけではないと説明しています。禁止・制限付き業種のリストは代表例であり、網羅的なものではないともされています。

Squareも、加盟店規約に基づき、金券・有価証券、金融商品・サービス、賭博、成人向け商品、CBD、処方薬など、特定の商品・サービスに関係する決済を受け付けないものとして例示しています。つまり審査では、「違法かどうか」ではなく「取り扱えるかどうか」という視点で見る必要があります。

01 まず分ける、3つの区分

審査では、次の3つを分けて考えると整理しやすくなります。「うちは違法なものは売っていない」だけでは足りない、という点が出発点です。

区分意味例
禁止商品・サービス原則不可
原則として取り扱えないもの
違法薬物、武器、賭博、偽ブランド品、成人向けサービス、無許可商品 など
制限付き・個別審査個別判断
事前承認・許認可・追加資料が必要になりやすいもの
医療、金融、寄付、クラウドファンディング、高額商品、旅行、継続課金 など
決済手段ごとの対象外手段による
決済会社やブランドによって扱えないもの
前払い不可、電子マネー不可、QR不可、特定ブランド不可 など

※ 同じ商品でも、決済ブランドや決済手段によって「使える/使えない」が変わることがあります。「カードは通るが、QRは対象外」「一次審査は通ったが、二次審査で個別確認」といったケースも珍しくありません。

02 代表的に、禁止・制限されやすい商品・サービス

決済審査で禁止・制限の対象になりやすいものは、概ね次のように整理できます。自社の商材が近いものに当たらないか、確認してみてください。

分類代表例見られ方
違法・無許可商品違法薬物、脱法ドラッグ、無許可販売、法令違反商品原則不可
武器・危険物銃砲、刀剣、火薬、スタンガン、催涙スプレー、危険化学物質原則不可/高度に制限
成人向け・性的サービスアダルトコンテンツ、性的サービス、使用済み下着、性風俗関連原則不可/制限
賭博・くじ・賞金型ゲームカジノ、宝くじ、賭博、富くじ、金銭的賞品のあるゲーム原則不可/制限
金融商品・投資・信用有価証券、投資運用、投機的取引、融資、債務整理、送金、両替個別審査/不可
金券・換金性の高いもの現金、通貨、商品券、プリペイドカード、切手、印紙、回数券原則不可/事前承認
医薬品・医療関連処方薬、医療機器、遠隔診療、検査キット、健康効果をうたう商品許認可・個別審査
たばこ・CBD・大麻関連たばこ、電子たばこ、CBD、大麻関連商品原則不可/制限
偽ブランド・知財侵害偽ブランド品、海賊版、違法コピー、権利侵害コンテンツ原則不可
マルチ・儲け話無限連鎖講、マルチ商法、簡単に稼げる系、誇大な投資機会慎重/不可
個人情報・秘密情報個人情報、営業秘密、非公開情報の販売原則不可
リアルマネートレードゲーム内通貨、アカウント、アイテム売買禁止されやすい
公序良俗・反社会的内容差別、暴力、犯罪助長、違法行為を促す商品・情報原則不可

※ PAY.JPの公開ヘルプでも、禁制品、武器、アダルト関連、賭博、無限連鎖講・マルチ商法、たばこ、現金、金券類、偽ブランド、暗号通貨、医薬品・医療機器、個人情報、許認可を満たさない商品などが、禁止商材として列挙されています。ここに挙げたものは代表例であり、網羅的なものではありません。

03 株式・FX関連で、特に注意すべき領域

金融・投資まわりは、禁止・制限の判断が特に難しい領域です。株式・FX関連サービスでは、次のような内容が慎重に見られます。

項目注意点
証券・FX取引そのもの金融商品取引業の登録、本人確認、資金管理などが前提。決済会社によっては取り扱い自体が難しい。
証拠金・投資資金の入金講座代ではなく投資資金に近い決済と見られると、カード決済が難しくなりやすい。
投資助言・シグナル配信銘柄推奨、売買タイミング、エントリー・利確・損切り指示などは登録要否が確認されやすい。
自動売買ツール・EA「自動で稼げる」「勝率◯%」などの表現があると、誇大表示・高リスク商材に見られやすい。
投資で儲けるためのコンサル・講座高額情報商材、強引な勧誘、成果保証に近い表現があると慎重に確認されやすい。
海外FX・無登録業者への誘導無登録業者リスク、紹介責任、報酬関係が問題になりやすい。
利益獲得目的の助言・予測投資・暗号資産・転売で利益を出すための助言自体が、禁止対象になる場合がある。

特にStripeの禁止・制限付き業種リストでは、日本向けの個別項目として、金融商品や暗号資産の取引で利益を得る方法について、ガイダンス・情報・ツールを提供する相談・助言サービスが挙げられています。PayPalも、株式、債券、有価証券、オプション、商品、CFD/FX、投資持分などの売買・仲介に関する取引は、事前承認が必要な「Investments」の項目として示しています。

株式・FX関連は、専用ガイドがあります

教育・助言・取引の境界、登録要否、広告表現、決済対象の切り分けなど、株式・FX関連ならではの見られ方は、株式・FX関連サービスの審査要点で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。

04 「前払い」が禁止・制限されることもある

禁止・制限は、商品そのものだけではありません。決済のタイミングが問題になることもあります。

たとえば楽天ペイの実店舗決済のFAQでは、業種を問わず申し込みは可能としつつ、サービス提供完了前の決済=前払いは禁止されており、継続的なサービスでは提供完了ごとに都度決済する必要があると説明されています。このため、次のような取引は、サービス内容が適法でも慎重に確認されることがあります。

※ 特に、高額講座・長期サポート・成果訴求・前払いが組み合わさると、審査上かなり慎重に見られやすくなります。継続的なサービスは「提供のたびに都度決済」の設計にできないか、検討してみてください。

05 「禁止」ではなくても、追加資料が必要になることがある

決済会社によっては、完全な禁止ではなく、追加資料の提出や個別審査で判断される場合があります。Stripeは制限付き業種について、追加のデューデリジェンスとして関連ライセンスやビジネスモデルの詳細を求める場合があると説明しています。STORES 決済でも、QRコード決済はクレジットカード二次審査や各QRコード決済審査の通過が条件とされています。

申込前に、次を整理しておくとスムーズです。

確認すること準備しておくもの
許認可が必要な業種か許可証、登録番号、届出書類
金融・投資・助言に該当しないかサービス範囲、契約内容、免責表記
前払い・長期契約ではないか提供スケジュール、返金条件、解約条件
高額商品・継続課金ではないか価格表、規約、申込画面、同意導線
誇大広告に見えないかLP、広告、実績表示、体験談、リスク説明
第三者の商品・サービスを扱うか紹介関係、報酬関係、責任範囲
決済対象が何か講座代、会費、教材費、証拠金、投資資金の切り分け

06 実務上の見せ方 —「何を売っているのか」を明確に

禁止・制限商品サービスに該当するかどうかの第一歩は、「何を売っているのか」を明確にすることです。特に株式・FX関連は、同じ言葉でも決済対象が変われば、審査での見られ方が大きく変わります。

切り分けの、3つの問い

一般的な投資教育講座の受講料なのか。売買シグナルや投資助言の対価なのか。FX口座への証拠金や投資資金の入金なのか。

同じ「株式・FX」という言葉でも、決済対象が変われば、審査での見られ方は大きく変わります。特に、投資資金、証拠金、投機的取引、金融商品取引、海外FX業者への誘導、成果保証に近い高額講座などは、決済会社によって取扱不可または個別審査となる場合があります。

やりがちなNG

次のような見せ方は、実態と看板がずれて見え、審査でも会員対応でもリスクになりやすいところです。

07 あわせて読みたい

自社に近いものがあれば、あわせてご覧ください。共通の要点・早見表は本編にまとまっています。

この記事の、いちばん奥
「取り扱えるか」は、「何のサービスかを、誠実に示せるか」で決まる。

禁止・制限に当たるかどうかを分けるのは、多くの場合、商品そのものよりも「それが何なのかを、正しく説明できているか」です。看板と中身をそろえる。決済対象をはっきりさせる。リスクを隠さない。——これは審査を通すためのテクニックである前に、会員との信頼を設計する行為そのものです。会員を管理する時代は終わりました。これからは、人との関係を設計する時代です。

ひとことで言うと

決済代行会社には、取り扱いできない商品・サービスや、事前承認・個別審査が必要な業種があります。これは違法な商品だけを指すものではありません。法令上は販売できても、カード会社・決済代行会社・提携金融機関の方針で、カード決済では取り扱えない場合があります。

株式・FX関連では、特に金融商品取引、投資助言、証拠金・投資資金の入金、投機的取引、自動売買ツール、海外FX業者への誘導、高額な投資講座などが慎重に確認されやすい領域です。

申込前には、自社のサービスが「教育」なのか「助言」なのか「取引」なのか、そしてカード決済で受け取るお金が「講座代」なのか「投資資金」なのかを整理しておきましょう。この切り分けが曖昧なまま申し込むと、審査側はリスクを判断しにくくなります。

審査の準備から、ご相談ください

カード決済・継続課金の導入、審査に向けたサイト・規約・申込フローの整え方まで。「どの決済を選べばいいか」「うちの業種は通るのか」——そんな段階から、専門スタッフが初回無料でご相談に応じます。

岸本 健志
会員ビジネスLab 主任研究員 / ハートランドITイノベーション代表

1997年よりインターネット業界に従事。2007年の創業以来、EC、メディア、SaaS、コミュニティサイトなど数多くの会員ビジネスの立ち上げと成長を支援。決済導入・審査対応の伴走も数多く手がけてきました。

「会員を管理する」から「人との関係を設計する」へ。会員ビジネスの未来に、これからも愚直に向き合い続けていきます。

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